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厚生労働省によると母乳の脂肪中の一gあたりのダイオキシン濃度は1975年頃は50〜60/gであったがほぼ直線的に減少していて、98年と99年の調査では20gを少し超える程度であった。
ちなみに焼却施設との関連についても調べられているが、97年の調査では焼却施設の近くに住んでいようが遠くに住んでいようが、母乳中の、ダイオキシンの濃度に変わりはない。
焼却炉の、ダイオキシン対策は1997年から始まったが、摂取量も体内量も97年を境に減少傾向が加速した様子はない。
身も蓋もなかったのだ。
それでも、ダイオキシンの慢性毒性についてはどうなんだという方もいるだろうから、少し触れておこう。
先に紹介した母乳のダイオキシン濃度を調べた厚生労働省によれば、一歳児の身体発育、精神発達、免疫機能、アレルギー、甲状腺機能などとダイオキシン摂取量は、全く相関しないとのことだ。
母乳の脂肪中のダイオキシン濃度が50gでも20gでも、赤ちゃんの健康には差がないということは、このレベルの摂取量では慢性毒性は全く問題ないということだ。
体内のダイオキシン量が現在の3倍もあった1970年代から今に至るまで、慢性毒性が問題になったことはないのだから、これからも問題になることはないだろう。
もっとも、最新の高級焼却炉を導入しても我々のダイオキシン摂取量はほとんど減らないのだから慢性毒性の有無にかかわらず、焼却炉の過度のダイオキシン対策が無意味であることに変わりはないダイオキシンと世論操作1999年2月に所沢産のホウレンソウに高濃度の、ダイオキシン検出と騒がれた、そのホウレンソウの最高濃度は0.75gだったという事をダイオキシンに最も弱いモルモット並みと仮定して、体重50kgくらいの人がこのホウレンソウを食べ過ぎて致死量に至る量を計算してみると何と40トンだ。
人体平均濃度は低くても、テレビが危険だと騒げば、多くの人はだまされる。
ピコグラムとマイクロ、グラムの区別が一生かかっても半致死量に達しない。
普段暮らしている中で得るダイオキシンは微々たるものなのだ、ホウレンソ食べる人のダイオキシン濃度の方がよほど高い。
それでも被害が出ることはまずない。
京都議定書の時でも科学的な観点から反対する人たちがたくさんいて、そういう背景もあってアメリカは離脱したのだ。
日本ではアメリカのエゴだと思っている人が大半だがそれは単に事実を知らないだけだ。
日本人ほど論争するのがきらいな国民は少ないのかもしれない。
ひとたび、世間の風向、喝さ、がある方向にたなびきはじめるとすべてのメディアはこの方向一色になってしまぃ、反対意見は全く無視されてしまう。
論争というのは本来、論理と論理をたたかわすものだがこの国のメディアは論理よりも気分の方がお好きなようで、環境問題や健康問題について、気分を害することを言うのは夕ブーである。
メディアは常にセンセーショナルな話題を求めている。
CONを排出し続ければ今に地球は大変なことになる、という意見はニュースになるが、 CONを排出しても問題はない、という意見はニュースにならない。
同じように、焼却施設から排出される、ダイオキシンを減らさなければ我々の健康がむしばまれる、という意見はニュースになるが、大したこと無いという意見はニュースにならない。
センセーショナルなニュースを求めるのは、メディアの宿命だからまあ仕方がないが科学的な真偽を確かめる責任もメディアにはあるはずだ。
しかし、ひとたび世間の流行になってしまえば、真偽を確かめる責任はメディアにはないらしい。
なんとなれば、んな、がそう言っていたから。
たとえ間違っていてもそれはみんなの責任であって自分の責任ではないのだ。
しみを感じる人や、それで流行の尻馬に乗っただけの無責任なお話が次々とメディアをこの風潮を利用して金儲けをしたい人には天国だな。
私のようなヘソ曲がりが反対意見を言った時に、こういう人たちから返ってくるコトバは決まっている。
「あなたは地球の環境がどうなってもいいのか」あるいは「子供たちの健康がむしばまれてもいいのか」。
私はめんどうくさいので時に、「そうですよ」とか言ってしまうけれども、私が本当に言いたいことは、すべての行為にはメリットとデメリットがあり、メリットよりデメリットの方が大きい時はメリットのお題目がどんなに立派でもおやめなさい、という実に単純なことなのだ。
しかし、世間の風の中で生きている人たちに私のコトバは届かない。
どこの国でも世論操作をしたい人たちはいるけれども、そういうわけで日本はとても世論操作がし易い国であることは確かだろう。
事情だったようだ。
先に紹介した、W辺・H『ダイオキシン』には、日本で出回った代表的な恐怖物語りが6つ取り上げられているので、「ダイオキシン恐怖物語り」はその最たるものだ。
しかも、99年代後半、それは日本でだけ流行したのだ。
それを並べてみよう。
産廃焼却から出るダイオキシンで赤ちゃんが死んでいる。
家庭ゴミ焼却から出る、ダイオキシンでも赤ちゃんが死亡。
母体内のダイオキシンが新生児の6%以上をアトピーにする。
母乳中のダイオキシンがアトピー児をさらにふやす。
カネミ油症ではダイオキシン類が死亡率を上げ、がん死をふやした。
今から見れば当然だが、これらは全部ウソだったのだ。
W辺・Hの本はこれらの言説のデタラメさをすべて暴いて見事なので、是非読んでみることをおすすめする。
昔、ダイオキシンの「環境ホルモン」作用で動物がメス化する。
『統計でウソをつく法』と題する本があったような気がするが、ここに並べた6つのウソの恐怖物語りは、まさにそれを地で行ったような話だ。
ひとつだけ紹介しよう。
ゴミの自家焼却をしている市町村は新生児死亡率が高い、として次のような話がゴミの自家焼却をしている埼玉県内の次の町村の1989年から94年までの6年間の新生児死亡率(千人あたりの死亡数)は、吉田町一1.49、荒川村6・4、栗橋町6・37、川里村5・75、美里町5・3一で、焼却施設でゴミを燃やしていた所沢市の3.44や県平均の約2.3に比べて高いので、家庭ゴミの自家焼却から出るダイオキシンが赤ちゃんを殺しているに違いない。
97年に出てきた。
すなわち、いかなる因果関係も検証しないでいきなりそういう話にもっていく短絡思考もすごいが、母集団の大きさを考えないで4ケタの数字を並べるところもすごい。
たとえば吉田町の出生数は年間60人前後だから、6年間で4人が亡くなれば、新生児死亡率は10を超す。
85年から88年の4年間では同町では新生児はひとりも死んでいないのだという。
統計は母集団がある程度大きくなければ偶然の要素が大きくて確かなことは何も言えない。
昔アメリカの大学ではじめて男女共学になった時、それに反対した学長が次のような演説をしたという。
「第一期生の女子学生のうち、なんと33.3%以上が職員と結婚した。
共学は風紀を乱してけしからん」。
第一期生の女子学生は3人だったのだ。
そのうちの一人がたまたま職員と結婚したわけだ。
自家焼却を行っていた町村は他にもいくつもあり長瀞町などの新生児死亡率はゼロだったという。
この統計は先ほどの話からは無視されているとのことだ。
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